あくまでも、淡々と返事をするキース。
そんな彼に向かって、グランド公は煽るような言葉を掛けた。
「エリカがどうなってもいいのかい?」
キースの目が、一瞬大きくなる。
しかしすぐに彼は目を細め、意地悪そうに口角を上げると、
「構いません」
それだけを告げた。
「君は家族を売るのというのかい!?」
グランド公に動揺の色が見え始める。
対して、キースは落ち着いたままだ。
「私は別に、家族を売っている訳ではありません。最後までロイ様とイヴ様を御守りする。それが、彼女の望みですから」
「……」
「陳腐な習慣に囚われた者の戯言を真に受けるほど、私達は愚かではありません。
今宵の事実を全て受け止め、正しい方法で騒ぎを抑える。それが今すべき事です」
「……青二才がよく言うよ」