私は、こんなにパニックになってもスクワットを続けてしまう自分自身が悲しかった。




「ハスミ!スクワット続けながら聞けよ。

うちの団体のスポンサーの一人で白石さんだ。

駅前と、高速の直ぐ下と、マルちゃんデパートの中にとんかつ屋白石ってあるだろう。

あそこの社長だよ。」




「山尾さん、キイタデパートの中にもあるよ。」




白石が山尾に言った。




とんかつ屋白石と言えば、この街では有名なとんかつ屋だった。




私も何度も行った事があった。




定番のとんかつ定食も大好きだったがトントン丼も大好きだった。





思わず生唾が、出てしまった。




ブタの鼻のマークで有名だったし、味も良かった。




私のお父さんは、私が、小さい頃から家族で出かけると必ずとんかつ屋白石に行った。




私の頭には、家族で出かけるイコールとんかつ屋白石と刷り込まれていた。




『お父さん!私トントン丼がいい!』




『ハスミは、本当にトントン丼が好きだなあ。

じゃトントン丼食べたら今日は、おもちゃ屋にでも行くか。』