また余計なことまで思い出してしまった。
「もし、沙紀が俺のことを好きになったらどうする?」
わざと憎らしい笑顔を見せて司にダメージを喰らわせる。
俺の中の悪魔が顔を出した瞬間だった。
「…自信ありそうだな。けどそんなことは絶対ない。俺がそうさせない」
司は立ち上がり、ズボンに付いた汚れを手で祓う。
俺より少し身長が高い司。
当然、司には見下ろされるが、俺は負けた気はしなかった。
「もしそうなったら、お前に落ち度があったことだから反省するんだな」
この自信はどこからやってきたのだろう。
けど何故か自信があった。
沙紀の気持ちを知るわけもないのに、勝手にこんな言葉を並べていた。
自信だけはあったんだ。
「お前に沙紀は渡さない。…絶対に。」
「勝手に言っとけよ。
司は知らねぇだろうけど、人の気持ちは簡単に変わるんだよ」
覚えておけよ。
俺はお前から沙紀を奪ってやるから。
あの笑顔を独り占めにするんだ。
オレンジ色の夕日が、俺たち、ライバルを燃やしていく…。