「今日、沙紀すごい眠そうだね?寝不足?」
こう心配した口調で話す明日香。
沙紀は笑って明日香の質問に答えを返す。
その答えを聞いた俺は、また溺れてしまったんだ。
「今日朝早くからあるモノ作ってたんだ…だから少し寝不足なの」
その言葉を聞いた俺は、全身の力が抜けて、歩くことさえ出来なくなってしまった。
それは嘘?
嘘なんかじゃないよね。だって本人がそう言ったんだから。
日常生活に台本なんかあるわけない。
ということは本当のこと。
沙紀は俺のために朝早くケーキを焼いてくれたの?
俺が沙紀にしたことは些細なことじゃないか。
ただ沙紀をかばっただけ。
困っている人に手を差しのべただけ。
沙紀はその行為をどう受け止めてくれたのかな?
ねぇ、沙紀。
俺…お前のことが…