…あんなにも青かった空が、オレンジ色に染め替えていた。
時間の経過を俺たちに教えているよう。
夕日のオレンジ色がいつもより鮮やかで、俺はその夕日をしばらく見ていた。
屋上から見る街の景色が好き。
俺が生きている世界はこんなにも広いのだと思わせてくれるから。
そして一日のことを振り返る。
昨日、ワケの分からないことを言ってきた明日香とは、特に変わったことはなかった。
明日香は忘れてしまったのか、普段となにも変わらない態度を見せていた。
俺に「おはよう」と普通に挨拶をしてくるし、分からない問題があったら聞いてくるし、そんな態度を取られると、気にしていた自分がバカのように思えた。
そして沙紀からもらったカップケーキ。
これが今日の中で一番嬉しかったことかもしれない。
いや、実はもう一つ。
それは隼人と二人で移動教室の場所に向かっていたとき、前に沙紀と明日香が歩いていたんだ。
そのときの二人の会話が聞こえてきた。