機嫌がいいのかな?
それとも給料日だからかな?
富田が怖いくらい優しいから。
「富田…なんでそんな簡単に買ってくれるんだよ?」
「僕は歩さんとたくさんの時間を過ごして、歩さんのことを理解しているつもりです。もちろんタダではありませんよ?」
どういうことだよ?
タダでは買ってくれないのかよ?
結局金か?
富田は手帳をパラパラと捲っていき、ある場所で手を止めた。
そのページに書いてあったあるデータを声に出して読んでいく。
「去年の期末テスト、300人中、162位でしたね。その前は154位。一ヶ月後には中間テストがあります。このテストで3位に入ってください。それが携帯との引換条件です」
これを聞いたあと、どこかで皿の割れた音がした。
きっとキッチンだろう。
けどもしかしたら、俺の心かもしれない。
「…な、に?
なに言ってんの?」
まさか条件が勉強だなんて思ってもいなかった。