明日香はなにを考えているのだろう?
この笑顔の裏側にはなにを隠しているのだろう?

今の俺には理解できないことだ。



「黙っててくれるんだよな?」



もう一度、明日香に確認をすると、明日香は深く首を縦に下ろした。

明日香を信じよう。
今はこれしかできないから。



「あとね、これも覚えておいてね?」



そのとき窓から見える太陽が、白い雲の中に顔を隠した。
奪われる光。
まるで恥ずかしがるよう。
太陽も心を持っているのかな?



「なに?」



作り笑いは苦手だけど、明日香の機嫌を損ねるわけにはいかない。
きっと明日香は自分自身のことしか考えていないと思うから。




「私ね、歩くんのこと好きなんだよ」



…は?
なに言ってるの?
ワケが分からない。
今言うことなの?
状況を考えろよ。

冷たい空気に包まれたこの空間で、告白なんかするかよ?


しかも俺は明日香のことを理解出来ていないんだぞ?


頭が破裂しそうだ。


別に破裂してもいいのだけれど。


この世界から消えても悔いはない。