「なんだそれ。
お前ってバカだよな。」


「え?違うのかよ?」



もう喋んなくていいよ。

その時、担任の林田が自分のペースを乱さないように教室に入ってきた。マイペースな性格ということが、見ていれば伝わってくる。



「みんな席つけー。
そういえば斎藤と水島。どうして始業式に来なかった?」


黒板に張り出されてあった席の名簿の紙を外しながら俺と沙紀に聞いてきた。
担任の言葉を聞いた生徒たちが一斉にざわめきだす。

俺と、沙紀の名前が原因なのだろうか。


生徒たちの視線が俺と沙紀に集中する。




《俺たちは、体育館の横でキスをしていました》



そんなこと死んでも言えるかよ。



「…えっと…」



なんで今日はこんなにも言い訳を考えなくちゃだめなんだよ。
もう頭がついていきませんよ。



「あたしは…」



「俺、中庭で寝てました。水島さんは気分が悪かったみたいで保健室にいたみたいですよ。」



先生なら信じてくれるよな?
信じなくてはいけないよな?


この学校で、俺に逆らう先生などいないから。