『運命って信じる?』




俺は車を走らせながら、この言葉を思い出していた。
小林が俺に言った言葉だ。


運命を信じると答えた俺。
けれど信じられなくなった。

これが運命だったら、信じたくない。



車の中に広がる、ラジオの音。
そこからも墜落事故の内容が聞こえてくる。
俺は勢いよくラジオを切った。


現実逃避。
逃げたかった。
信じたくなかった。



小林がいないなんて…聞きたくない。



涙が零れてくる。
泣くな、頼むから…
泣き止んでくれ…。




スピードを上げる。
早く優のもとへと行きたい。



あいつはきっと一人で我慢をしているはずだから。



…そして俺は空港へと着いた。
駐車をし、涙を拭きながら、空港の中へと入る。


空港の中は騒然としていた。
泣き崩れる人々。
まるで世界が終わったかのように思わせる。



俺は走って優を捜す。



…見つけたとき、優は崩れ落ちていた。



身も、心も…。