時間がすぎていく。
昼に近づいていく。
優はもう空港だろうか?

逢えたかな?まだかな?

さっきからそればかり考えている。



けどこの時、もう運命は動いていたんだ…。



携帯のデータフォルダを開ける俺。
そしてその中からある写真を見つけ出した。
それは3ヶ月前の写真。

優と小林の最後の別れのときに撮った写真だ。
キスをして互いを愛しく想う瞬間。


これをやっと二人にあげることができる。
喜んでくれるかな…。



携帯を見ながら微笑んでいると、沙紀から電話がかかってきた。


俺は通話ボタンを押して、携帯を耳に当てる。
そしてベッドに座り、ベッドの隣の棚に置いてあった、星の砂の小瓶に視線を移した。



「はーい」



『もしもし、歩?私ね、百合のためにケーキを焼いたの。喜んでくれるかな?』




そう、今日は小林の誕生日。
沙紀はケーキを焼いたらしい。
プレゼントは揃ったね。

二人がキスをする写真と、焼きたてのケーキ。



あとは小林が帰ってくるだけ…






けど…小林はもういなかった…、この世界に…。