「もう…絶対離すなよ、小林をさ…」



静かな部屋に零れ落ちる言葉は、部屋中に響いた。



俺は聞きたい。
優の力強い言葉を…。



『…ははっ大丈夫だよ…絶対離さねぇから!!』



神様、聞こえましたか?
聞こえなかったフリをするのはやめて。



…あなたは、酷い。




優の真っ直ぐな気持ちを無視したのだから。



「おし!じゃあまた迎えに来てほしいとき、連絡してよ。いつでも飛んでってやるからさ」



『さんきゅ…歩』



「おう!じゃな~」



優に『ありがとう』と言われると泣けてくる。
俺はお礼をされることなんかしていないよ。


ただ約束を守りたいだけ。
小林との約束を。






なぁ、小林…。
やっと叶えられると思った夢は、消えてなくなってしまった…。


悲しかったよな、
苦しかったよな。



『鈴木百合になりたい』



小林の夢は何処にいったのだろう…。



叶えられぬまま、
儚く消えてしまったんだ。