「俺…今日ずっと考えていたんだ…このさ…海のずっとずっと先には百合がいるんだって…」




優は一人で小林のことを想っていたんだ。
良かった、優を海につれてきて。


小林を感じることが出来たから。
俺はそう感じて欲しかったんだ。
だから優を無理矢理にでも海につれてきたかった…。



「うん…」


返す言葉はこれだけで十分だと思った。



「今の俺にはすごく嬉しいんだ…海の先には百合がいるってことだけで」



「そっか…」



優は成長している…



「多分昔の俺は耐えられなかったと思う。不安で不安で俺はダメになってたかもしれない」



前に進んでいる…



「うん」



「でも、今日来てさ、百合がこの世界のどっかにいるってことで、なんだか…嬉しくなるんだ…それだけで十分なんだ…。そりゃ抱き締めたいけど…俺、百合が好きなんだ」



力強い優の一言、一言。それを聞いただけで分かる。



優は強くなったと。
離れていても気持ちは変わらず、相手を想える優は、強く成長している。