「うん…早く会って抱き締めたいなぁ…」
地平線に沈んでいく夕日に、優は願いを溢した。
その言葉が『愛している』と聞こえた。
抱き締めたいくらい愛している。
優は小林をそう思っているのだろ?
『愛している』と。
「そっか~早く会いたいな!良かったな…優」
俺は安心したのか浜辺に倒れ込んだ。
使い込んだ自分のベッドより寝心地のいい砂浜。
目の前には夜空が広がる。
「嬉しすぎるって!」
優も俺と同じように横になった。
「沙紀も早く会いたいな!」
そして沙紀も横になり、三人で夜空を眺める。
空は遠いと感じていたが、今は遠くないと思った。
空が近い。
夜空が目の前にある。
手を伸ばしたら掴めそうな星。
世界が近くに感じた。
「なぁ…歩…沙紀…」
「なに?」
俺はこの時言った優の言葉を永遠に忘れないだろう。