波がこちらに寄せてくる。
浜辺についた足跡を消していく。
そしてまた波が寄せてくる。


その繰り返しだ。


俺と沙紀はしばらく何も言えなかった。
突然すぎだからだろうか?


小林が…帰ってくる。




「え!!??」



驚きを隠せないのは無理もない。
そろそろ帰ってくるとは思っていたけど、もうすぐ?
それを聞いた俺は優が元気だった理由を見つけた気がした。

やはり、小林だったか。



「いつ?」



「今月の27日」



今は8月の上旬。
一ヶ月もない。

優が嬉しくなる理由が分かるよ。
愛しい人が自分のもとに帰ってくる。
嬉しくないはずはない。

「あと少しじゃん!」



沙紀は驚きつつも、嬉しそうな表情を見せて言う。


「あ~だから優、あんな喜んでいたんだ?」




喜ぶのも無理はない話だ。
俺も沙紀もこんなにも嬉しいことなのだから。



小林が帰ってきたら、またこの海に来よう…。
この願いももう少しで叶えられそうだ。