いつか聞かせて?

笑いながら話してよ。


俺はどこまでもお前を追いかけるから。
その時まで、勇気を味方にしておくから。



生暖かい春の陽気が俺を包み込む。
一人ぼっちの俺は、後悔という黒い塊に蝕まれていた。



…中庭のベンチに座り、憎い空を眺めていると、どこからか声が聞こえてきた。
何度も俺の名前を呼んでいる。


途方に暮れていた俺は、しばらく反応をしなかった。
出来る状態じゃなかった。
心が重すぎて。



「おい!歩!!」


こう言って、俺の肩を強く握る人。
この声は、隼人?


そんなに強く握らなくても感触はあるから、離せよな。


「あ?なに?」


後ろを振り返るとやっぱり隼人で、意外性に欠けるなと心の中で思った。


「結局始業式来なかったじゃん。俺待ってたのにさ」



本当かよ?
それさえ疑ってしまう。


「なんか、そんな気分じゃなかった」



さっきから、頭の中から沙紀の泣き顔が離れてくれない。