優は楽しかった?
俺は不安だったのだ。
無理矢理連れてきて良かったのかなって。
誘ったときも乗り気ではなかったから。
けど優は『ありがとう』と言った。
「別にいいって」
照れるだろ?
「そうだよ!私も楽しかったし!」
「来て良かったな。俺のおかげだし!」
この言葉を聞いた沙紀は、優の隣から顔を出して、怒った表情を見せた。
その顔が怖かった…。
「歩、少し黙ったら?」
調子に乗ってすいません。
「ひでぇ!!」
オレンジ色が俺たちを包み込む。
もう終わりだ。
この夏の日も…。
「俺…言わなくちゃいけないことがある…」
突然、優が言った一言。改まって何を言い出すんだ?
「何だ?」
小林と別れたとかそんなことは聞きたくないよ。そんなこと言われたら、四人で海にくる計画がなくなってしまうじゃないか。
ごくんと唾を飲む俺。
何故か緊張をしていた。
「百合が…もうすぐ帰ってくるんだ」