浜辺には水着を着た若い人たちで溢れている。
肌を焼く人、日焼けをしたくないと日陰に座る人。

浮き輪で遊ぶ子供たち。
ビーチバレーをする若い人たち。


海だからしょうがないか。
みんな楽しそうだし、文句は言えない。
俺はパラソルを空いている場所に立て、水着になった。


買ったばかりの水着。
沙紀と選んだものだ。



「おっしゃ!泳ぐか!」


「沙紀も~!!」



沙紀も俺に便乗をして、着ていたパーカーとショートパンツを脱いだ。


沙紀の水着は俺が選んだんだ。
赤色に白のドット柄。
沙紀に似合うだろ?



「優!見とれんのナシな!気持ちは分かるけど!」



可愛いのは知ってる。
自慢の彼女なんだから。


「俺、沙紀でもいいよ?」



満面の笑みで優が言った言葉を聞いて俺は焦りだす。


ちょっと何言ってんの?


やめてよ、こんなときに。



「優~!!?」



優に沙紀を取られたら、俺は奪え返せない。
変なことを言うなよ、焦るだろ?