「俺と沙紀と優」
優の質問に素直に答える俺。
その次の瞬間、シーンとなった。
空気が変わったと言った方がいいのか?
優を見上げると、優は引きつった笑顔を浮かべる。
「俺、邪魔じゃね?」
「そんなことないって!優のためだ!!」
優のためにこの計画を考えたんだ。
だから優がいないと意味がなくなってしまう。
優に熱い視線を送ると、優は納得をしてくれたのか、首を縦に振った。
「分かった」
俺たちが見た夕日の色は、今まで見てきた数々の夕日の中で、一番鮮やかで、最高に綺麗だった…。
空には煌めく星があって、この空の下で愛を確かめたよな。
小林が帰国したら、またこの海に来よう。
そう願ったのに、叶わなかった…。
本格的な夏がやってくる。
かき氷が恋しくなる日々。
そしてついにこの日がやってきた。
やっと新車にお前たちを乗せて走らせることができる。
海へ向かう。
小林に繋がっているかもしれない場所。
この日の空は、小林がいなくなった日と同じくらい蒼かった…。