また会えるよね。
だって夢があるんだろう?
鈴木百合になりたいって言ってたもんな。


だから帰ってくるよな?


俺はまた会えると思っていたよ。
優もそうだ。沙紀もだ。



なぁ、どうして帰ってこないんだよ。
どうして夢を叶えにこないんだよ。



答えてくれよ、小林…。






…小林がカナダへ旅立ち、どれくらいの時間が過ぎただろうか。
季節は春から夏に変わり、街は蝉の声で溢れている。
蝉の鳴き声を聞くと暑さが倍増をする。
夏の嫌な理由のひとつだ。


クラスには小林の姿がない。
それをみんなは『当たり前』だと思っているに違いない。
小林の存在がみんなの心からなくなってきていると思うのは俺だけだろうか?


受験のせいかな?
みんな勉強をしているから忘れているだけだろうか。



夏休みが目前に迫ってきている。
頭の中は、受験、受験。


俺が目指す法学部の大学は、今の偏差値ではまだ足りない。


模試ではC判定。
けれど諦めるかよ。


あと少ししかないんだ。

絶対受かってみせる。