自分の答えを人に聞いてもらうのはとても勇気がいること。
そして何よりも怖い。
否定されそうで。
だから優は怖くて何も喋らなかったのだろう。



そして優はある場所で足を止めた。



目の前に佇む、立派な家。
クリーム色の塗装がまだ新しい。
表札には「鈴木」と書いてある。



もしかして、ここは…。



「俺の家。歩は来るのが初めてだよな」



こう言って、俺を家の中へ案内した。
人の家は、やはり独特な匂いがある。
自分の家とは違う匂い。その家の生活を表しているようだ。


玄関で靴を脱ぐ。
そこで目に映ったもの。それは黒いパンプス。
明らかに女物だ。


もしかして…
いや、待てよ。


変な焦りを感じる。


優は今から俺に新しい女を紹介するんじゃないのか?


『実は新しい彼女が出来ました!』なんて笑顔で言われたら俺はどうすればいいんだよ。



「悪いな…歩」



申し訳なさそうに謝る優。
やはり女を紹介されるのかな?


俺は嫌だよ、そんなの。