茜色の空が俺たちを優しく包み込んでくれる。
小林の腕を離して、座るように言う俺。
小林はそれに従い、アスファルトの上に腰を下ろした。
俺は小林と少し距離を置いて座る。
「大丈夫か?びっくりしたよ、いきなり泣くから…」
「…ごめんね…。あたし…限界だったの」
「いいけど…さっきの言葉は何?俺、いきなりだったから頭が回らなくて」
グラデーションになっていく空。
春の空は夏の空より、青さが薄い気がする。
けど透き通っている。
だから春になると小林を思い出すのかな。
小林は透き通るくらい綺麗な女性だったから…。
「…あたし、しつこい女かな。…見て?」
こう言って、俺に手を広げる小林。
彼女の白くて小さな手の中には、あるモノがあった。
太陽の光で反射をする、丸いモノ。
内側に刻まれた『YU』
また、小林の瞳から涙が一粒零れ落ちた。
これは、優と小林のペアリングだ。