真っ直ぐ天井を見つめて、沙紀は俺にこう言った。
安里と同じような言葉だ。
助けることは出来る。
けど壊すことは出来ない。
不安だ、不安すぎる。
この先、どうなっていくのか。
絡まった糸をほどくのは難しい。
糸を絡ませることは簡単 なのに。
優は悩んでいる?
迷っているのかな。
優の笑顔が消えてしまう前に救いたい。
絡まる恋。
一日ずつその恋は難しく絡まっていった。
けどほどきそうな時が突然やってきたのだった…。
それは4月の中旬。
下旬にとても近いとき。
学校が終わり、帰る支度をする俺。
この時はまだ優と広瀬は順調に付き合っていた。
そう思っていた。
優から香る、香水の匂いがそれを語っていたから。
けど気付いていた。
優から笑顔が完全に無くなったことを。
全て、作り笑いと変わってしまったのだ…。
「沙紀ー!」
俺は後ろを振り返り、沙紀の名前を呼ぶ。
沙紀は悲しそうな表情を浮かべ、こちらに歩いてくる。
どうかしたのかな?
「歩!ごめん!!
今日部活行かなきゃいけたくて…」