この時、俺はどんな表情をしていいのかわからなかった。
笑顔で言うべき?
それとも悲しそうに言うべきのかな?
沙紀は俺が想像していた通りの反応をしてくれた。
満面の笑みで嬉しそうにする沙紀。
俺はどうしたらいいのだろう。
「ナナも同じだった?」
キラキラと輝く沙紀の瞳。
その瞳を見てしまった俺は言葉が詰まってしまう。
正直に言わなきゃな。
「…広瀬は…違うクラス…。でも…、小林は同じだった。しかも優の隣。」
沈黙が訪れる。
沙紀も何て言っていいか分からないのだろう。
俺と同じだ。
言葉を探して、けど見えなくて。
その気持ち、分かるよ。
「…そうなんだ…。」
「俺…どうしたらいいかわかんねぇ。これから優と広瀬と小林とどう接したらいいか…」
過去は消せない。
消せるわけがない。
でも過去は自分を強くさせる。
だから優は強くなったのだ。
「でも一番苦しいのは鈴木くんだよ。鈴木は悩んでいると思う。それを助けることが出来るのは歩なんじゃない?」