近道をして沙紀の家へと急ぐ。
沙紀を驚かせたい。
沙紀はどんな反応をするかな?
…そして数十分後、沙紀の家に到着をした。
いつものようにインターホンを押す。
「あら、歩くん!丁度良かったわ」
中から出てきた、沙紀のお母さん。
どこか急いでいるように見える。
慌てながら髪の毛を一つに結んでいたから。
「こんにちは!あの、沙紀は…?」
「沙紀なら部屋よ!風邪引いて休んでるわ。上がって?私、今から病院に行かなきゃいけないの。看病頼める?」
こう言って、家の中に案内をするお母さん。
俺はただ「はい」と言いながら、家の中に入っていく。
沙紀のお母さんは看護師。
今から仕事らしく、沙紀の看病を任された。
「ごめんね、あとよろしくね!」
沙紀のお母さんは最後にこう言って、家から飛び出していった。
静かな空気が家の中に漂っている。
俺は階段を上がっていく。
沙紀に早く会いたいから。
最初は怖かった沙紀の家の階段も今では全く怖くない。
それだけ時が経過したということだ。