「今日はこれで終わります!さよーなら!」
先生が締めの言葉を言った瞬間、俺は携帯を急いで開けた。
そして確認をする。
新着メール一件を。
差出人は沙紀だ。
その文字を見た瞬間、安心をする俺。
そして落ち着いてメールの内容を読んだ。
《連絡しなくてごめんね。風邪引いちゃったの。クラスどうだった?》
「風邪か…」
沙紀は風邪を引いてしまったらしい。
春だからと言って油断をしたのかな。
けど良かった。
嫌われたのだと思っていたから。
「歩!沙紀、結局来なかったな」
心配そうな表情を浮かべて俺に言ってきた優。
「お~…さっきメールしたら風邪らしいから今から沙紀ん家行ってくる、じゃな!」
配布されたプリントを適当に鞄の中に入れて、優に手を振り、教室から出て行った。
早く会いたい。
一秒でも早く。
暖かい春の季節の中、俺は愛しい人に会いに行くため自転車を走らせた。