空を睨み付ける。
存在しないかもしれないけど睨み付ける。
不公平だ、こんなの。
沙紀からの連絡もないし、優と会っていないし、不安ばかりが俺を襲う。
リセットをしよう。
こう思った俺はトイレへと向かった。
薄暗いトイレ。
何故か落ち着く俺。
自分の心の中に光がないからかな。
鏡に映る自分は笑ってなんかいなかった。
笑いたくても、笑えない自分。
まるで人形だ。
でも進まなくちゃ。
世界が未来へ動いているのだから…
俺は気合いを入れて、新しいクラスに向かう。
隣に沙紀がいないことがこんなにも不安だなんて初めて知った。
そして俺はある人に気がつく。
それは優の姿だ。
俺が不安になってどうする。
明るくいかなきゃ。
それだけが俺の取り柄だ。
立ち尽くんでいる優。
俺は優の肩を叩いた。
「優?何?どうした?」
びくりと反応する優。
俺の顔を見た瞬間、優の表情が和らいだ。
「あっ、歩か、ビビった。ていうかまた同じクラスだな!」
「おっお~。三年間同じクラスだな!あと沙紀も!」
優はこの時、本当に喜んでくれていたか?
不安な表情を見せる優にかける言葉が見つからなかった。