咲いた笑顔は突然枯れてしまいそうになる。
花のように、咲いたと思ったら、水をあげずに放置をしていたら、次の日、下を向いて咲いている。
まるで土になりたいと訴えているように。
優はこの時、何を思っていたのだろうか?
部屋に戻り、テレビをつける。
丁度今やっていたのは再放送の恋愛ドラマだ。
そして今日で最終回のよう。
どうせハッピーエンドに終わるのだろ?
観なくても分かるよ。
だから俺は携帯を触りながら音だけを聞いていた。
ふと視線を携帯から反らすと、あるものが映った。
それはテーブルの上に置いてある星の砂だ。
それを見ると、修学旅行の思い出が蘇ってくる。
優と広瀬が付き合うことになって…
その日、四人で雑魚寝をして。
楽しかったよな。
あれからもう月日は経ったけれど思い出はこんなにも鮮明だ。
星の砂に吸い込まれていく。
優はもうすでに吸い込まれていたのかもな。
そして蝕まれていたんだよな、紅い月に。