大切な二人の時間を裂くなんて出来るかよ。
だから先生も探さないで。



「鈴木の鞄はあるな。鈴木がどこに行ったか知らないか?」



先生は頭を掻きながら、優の居場所を突き止めようとする。
そんなこと俺が許すわけがない。



「先生、優は忘れものを取りに行きました。あと広瀬は気分が悪いみたいで保健室にいます!」



先生に向かって嘘の話を並べると先生はあっさりとその嘘に騙された。


心の中では腹を抱えて笑っている俺がいる。
最低だな、俺。



けどこれしか見当たらなくて…許して?



「そうだったのか。分かった。じゃあ授業始めるぞ!」



先生は分厚い日本史の教科書を開き、前回の続きから読んでいく。
それを見た俺は下を向いて笑うのだ。



このくらいの嘘はいいよね?



優はどうしたい?
誰を守りたい?



それを聞かせてくれないか?



優の本当の気持ちを俺に聞かせてよ。