広瀬がそうだった。
広瀬の中には壁があった。

だから他人行儀のようになってしまう。


それが本当の友達なのだろうか?
本当の親友なのだろうか?


俺はそうは思わない。



そんな時、教室にチャイムが鳴り響いた。
一時間目が始まりを迎える。
その音を聞いて沙紀は慌てて自分の席へと向かって行った。



「今の話は内緒ね?」



耳元で囁く沙紀。
その命令に小さく首を縦に振った。


そして先生が首を左右に倒しながら教室の中に入ってきた。
だるいなら休めばいいのに、と先生を見て思ったこと。



「あれ?鈴木と広瀬はどこ行った?」



先生の一言ではっと我に返る。
そうだ、そうだよ。


まだ優と広瀬が帰ってきていない。


追いかけに行ったあとどうなったか気になっているのに、優が居なくちゃ聞けないじゃないか。



二人はどこに?



こう思ったけど探すなんてできなかった。


二人の時間を邪魔したくない。