良かった、ちゃんと前に向かっていた。

後ろを振り返ったらどうしようかと思っていたんだ。


二人の姿を遠くから見ていた俺から次第に笑みが零れる。


そこの空間だけ温かさを感じた。


今日はいい日になりそうだ。
そう思うだろ?



空は快晴。
真っ青な空が俺たちを応援してくれていた。



靴を履き替え、教室に向かう俺。
早く沙紀に会いたい。



廊下を歩いていると前からある人が走ってきた。
顔を下に向けて、現実から逃げるように。



その人は、広瀬だった。



「ひ…広瀬?」



広瀬は俺の声が聞こえなかったのか、横を通り、そのままどこかに向かって走って行った。



「どうかしたのか?」



教室にいけば分かると思い、足早に教室に向かう。


教室に着き、中に入ろうとしたとき、中から勢いよく優が飛び出してきた。

慌てる様子を見せている。



「おっ、優~?」



「歩、おはよ!ちょっと行ってくる」



「どこにだよ?」




優、もしかして…
お前は追いかけにいくのか?


あいつのところへ…。




「ナナのとこ」




繋がる願い。



広瀬を求めて走る優の後ろ姿からは愛しさが伝わってくる。



どうか、どうか、
青空の下で二人を見守ってください。