俺はこの日、いい夢を見た。
その夢は優が一生懸命広瀬を追いかける夢。
大切な人を追いかける優の姿は立派だった。



そして次の日、俺の夢は正夢となったのだ。


この日は沙紀とは別々に学校へ行った。
沙紀は委員会の仕事があったため、先に学校に行ったのだ。
だから今日は一人で登校。


なんかさっきから笑顔が絶えない気がする。
笑ってばかりだ。
今日の夢がずっと頭の中から離れない。

それを思い出しては笑っている俺がいた。

周りから見たら俺は完璧変人だ。


だから口に手を当てながら、バレないように笑う。



「お、あっさとー!」



グラウンドに姿勢を移すと、そこには一生懸命サッカーをしている安里がいた。
きっと朝練だろう。


俺の声に気付いた安里は走るのをやめて、こちらを見た。



「歩じゃん!おはよ!」


太陽の光で汗が反射する。
安里のかっこよさが倍増した。



「頑張ってな!」



「さんきゅー!」



笑顔で手を振る安里に、ある女の子が近づいてきた。
きっとマネージャーだろう。
安里にタオルを渡している。
それを快く受け取る安里。



安里は前に進んでいた。