君の第一印象は『閉ざした心を持つ少女』だった。
失礼かもしれないけど、君を見たのはこの時が初めてだった。
こんな人、クラスにいただろうか?
過去を思い出さそうとしても彼女はいなくて。
もしかしたら幽霊?なんて馬鹿げた話があるはずがない。
けど君に出逢えて良かった。
「先生、私が余っています」
そう言って、手を上げたのは、モデルのような女の子だった。
誰、こいつ?
一番後ろの席に座っている彼女は先生に見えるように真っ直ぐ手を上げていた。
まるで存在を主張しているよう。
他の人とは明らかに違う空気を持っている。
「ごめんね?迷惑じゃない?」
真正面からみた彼女は言葉を失ってしまうくらい可愛かった。
まるでフランス人形。
「全然!よろしくな!」
「私、広瀬ナナっていうから…それに私なんか入って良かった?沙紀さん…ごめんね?」
彼女の名前は広瀬ナナ。広瀬は最初から俺たちに気を使っていた。
「気にしないで!それに私のことは沙紀でいいから!私はナナって呼ぶ!」
屈託のない彼女の笑顔を見た俺は、嬉しくなった。
それに、優が広瀬を受け入れた瞬間も嬉しかったんだ。
「座れよ」
優はきっと気付いていたんだね。
忘れていた『好き』という感情を…。