俺がもしこの時、買い物に行かなかったら、こんな辛い思いをしなくても良かったのかな…。
今頃になって思う。
打ち上げられた花火は、切なさを俺に与えた。
露店が並ぶ場所まで歩いていく俺。
まずは自分が飲みたいジュースを購入。
夏といえばカルピスでしょ。
なんて自分で勝手に思っている。
あとは沙紀が欲しいと言ったリンゴ飴だけか。
「あった!」
リンゴ飴と書かれた文字。
そこに並ぶ、数々のリンゴ。
リンゴの光沢が甘いと主張しているよう。
「リンゴ飴一つください。」
「はい!300円ね!ありがとう!」
丁度払い、俺は来た道を戻る。
…ドーン。
夜空に花火が打ち上がる。
花火が始まったようだ。
様々な色合いが、夜空によく映える。
急いで沙紀のいる場所まで向かう。
人があまりいない裏道を通って歩いていく。
その時、俺は見てしまったのだ。
二人の姿を。
…ドーン。
打ち上がる花火。
夜空に咲く花火。
悲しき二人の後ろ姿。