なんだよ、二人共。
お前たちは自分の気持ちを押し殺しすぎだ。



黙って、ただ頷く俺。
まだ何も言わないでおこう。



「諦められることはどうしても出来なかった…。優になりたいってずっと思っていたんだよ、俺。羨ましかった、優が。
文化祭が終わったあと、二人が別れたって聞いて…俺さ…正直嬉しかったんだ。別れてくれて…」



今まで溜めてきた苦しさを全て吐き出す安里。
アイスクリームが溶けていく。


存在していたと残そうとするアイスクリーム。
それがどこか安里のように見えた。



「安里…」



「二人が別れたあと、俺は小林と距離を縮めたかったけど無理だった。怖くて…さ。そのまま二年生になって優と同じクラスになって、友達になって…余計苦しくなった…」



店内に響く、カラン、コロン。
けど俺はその音を気にも止めなかった。


今安里から視線を反らしたら、安里を見失ってしまいそうだったから。


だから真っ直ぐ見つめる。