ひらひら。
ひらひら。


桜の花びらが散っていく。
ピンク色でハート型の花びら。
寂しそうに、自分の存在を示している。


俺は知っているよ。
キミたちが寂しいと思っていると。


だって、聞こえるんだ。散っていく花びらから声が。


「死にたくない」と。




見上げれば、満開の桜。生き残る花びらはどれなのだろう?



気がつけばもう春。
雪は溶けてしまって、滴が街を美しくする。


そんな街に一人、花びらと同じ気持ちの俺。
寂しい、すごく。


無力だから、俺は。



あれから優は自分の気持ちを押し殺すのに必死そうだった。
小林を見ては、目を反らして、また見つめて。

その繰り返しばかりしていた。


それを間近で見ていた俺は何も言えない。


ただ待ち続けるだけ。
優の本当の気持ちを教えてくれるまで何も言わないと決心をした。



早く一緒に笑おうよ。



そればかり願っている。



今日から二年生。
ただひとつ学年が上がっただけ。


何も変わらないさ、何も。