でも太陽と同じくらい陽気な声の持ち主には見られていなかっただろう。声が物語っている。

《俺はなにも見ていません》と。



ゆっくりと後ろを振り向くと、そこには満面の笑みを溢した、友達の隼人《ハヤト》がいた。
片手に持ったサッカーボールが彼の得意分野を示している。



「なんでそんなにも朝からテンションが高いわけ?」



変なものを見るかのように隼人を見る。
未だに隼人の顔には笑顔で溢れていて、そんな隼人を見た俺は、若さを吸い取られていくように感じた。


隼人が隣に並ぶ。



「歩、めんどくさそうだなー?新しいクラスになるんだし、張り切って行こうぜー!」



突然肩を組む隼人。



やめろよ。
どうせ親友だと思ってないんだろ?



隼人とは中学一年からの友達だ。
俺は隼人といると楽で楽しかったし、笑っていた日々の方が多かった気がする。


けど、そんな日はあっという間に終わってしまったのだ。



その原因は《恋》。