苦しさの果てに何があるのだろう?
ふと、考えたんだ。
苦しさとはヤキモチ。
ヤキモチが無くなったら、何が残るのかな?
それは、愛とか?
なんてね、勝手な想像だよ。
…この日、事件が起きた。
それは何の前触れもなくやってきたのだ。
いつもと変わらない生活だったのに、誰かが悪戯をしたのだ。
「おい!優!」
廊下からある人の声が聞こえてくる。
俺は廊下へと顔を移した。
そこにいたのは怖い表情をしたアイツ。
それは、優の友達の木田というヤツだ。
優を苦しめているもう一つの理由。
ヤキモチと、木田。
この二つが優を自由にさせないのだ。
「ちょっと来いよ」
こう木田は優を呼び出して、俺たちの前から姿を消した。
木田のあとに続く優の後ろ姿を見た俺は胸が苦しくなったんだ。
また、助けてやれない。
悔しいよ、俺。
「なんなの、あれ…」
隣にいた沙紀が言葉を漏らす。
今朝、沙紀は俺が寝坊をしたことで怒っていたけれど、顔を合わせたらそんなにも怒っていなかった。
でも絶対何かあるな。
『奢れ』って言われそう。