適当に準備をして、急いで自転車を漕いでいく。家から学校までは普通に漕いで30分くらい。
けれど今日、新記録が誕生した。
今日のタイム、10分。
息が荒れる。
なかなか落ち着いてはくれなかった。
下駄箱へ向かう途中、前方に優の姿が見えた。
俺はどんな態度を見せればいいのだろう?
普段と一緒でいいのかな?
「おっは!優」
テンション上げていくか。
俺は優に挨拶をして、背中を思いきり叩く。
優の反応はとても寂しいものだった。
「おー」
「朝からテンション低いなー」
笑って場を盛り上げる俺。
なぁ…優。
お前さ、すぐに顔に出るよな。
だから分かってしまうんだよ。
お前の心情を。
辛いときは、悲しい表情を見せて。
嬉しいときは、眩しい笑顔を見せてくれる。
俺はお前の悲しい表情なんか見たくない。
笑顔が、見たいんだよ。
俺は信じているよ。
いつか王子様とお姫様は結ばれて幸せになる、と。