そうすれば富田は追って来れないだろ?
こういう理由のためだけに、いつもここに車を停めさせるのだ。



「めんどくせぇなぁ…」


面倒だ。
なにもかも。
めんどくさいことなどこの世界にはないだろう。

陽気な気温が俺を取り巻いていく。
ヒラヒラと散っていく桜は、どうして嬉しそうなのだろう。


地面で息を静める桜の花びら。
俺はそんな可哀想な花びらの上をゆっくりと足を下ろした。



どうせ眠るのだからいいじゃないか。



ひとつの生命を奪ってしまった俺は、罪悪感など微塵にも感じず、学校を目指す。


通い慣れた道を進めば、必ず目的地に着いてしまう。
何回思っただろうか。
行き着く場所が学校じゃなければいいのに…と。

そんな叶わない願いを何回かした俺は、まだまだ未熟者なのだろう。



「お!歩じゃん!!おはよー!!」



すると後ろから声が聞こえてきた。
聞き覚えのある声にびくりと反応をする。


もしかしたら、富田とのやり取りを見られていたかもしれないと思ったからだ。