じゃあ言わなくちゃいけないよな。
すれ違いのまま時間だけが過ぎていって、そんなの勿体無いじゃないか。


授業中、そればかり考えていた。


「あっ学級委員の鈴木くんと小林さん!今日残ってやってほしいことがあるの」



するといきなり先生が優と小林にこう言ってきた。
俺は優と先生を交互に見ながら、状況を把握する。



「はっ?何で?」



優はとてもめんどくさそうな返事を返していた。
優らしい返事だな。
ん?待てよ。
先生の言葉が引っかかる。
『今日残って』という言葉。
残るということは時間帯にすると授業後。
イコール、教室には誰も居なくなる。
イコール、二人きり。


俺は心の中で叫ぶのだ。
『それだ!』と。



二人が仲直りするチャンスだ。
いや、喧嘩しているのかは分からないけれど。


優はきっと仲直りしたいはずだ。



…学級内にチャイムが鳴り響く。
その音を聞いた俺は無性に嬉しくなる。
一人で浮かれている俺。他人から見たら変な人、間違いなしだ。



先生の話があり、学校が終わったのを確認し、沙紀を呼び出す。