優の表情をちらりと見ると、苦しそうだった。
何も主張できない子供のようだ。
放っておけるかよ、そんな顔見たら助けたくなってしまう。



「何かあんの?」



俺で良ければ話を聞くよ。
お前を助けてやるから怖がるなよ。


優、お前は俺に何かを隠しているだろ?



「今は言えない…」



優が言った言葉は、自爆するような言葉だった。優は自分で自分を苦しめている。
そんな優を俺はただ、目の前で見ることしか出来ないのかな?



正直、苦しかった。
ひどい脱力感に襲われた気がした。



「じゃあ、言える時が来たら言えよ?」




「悪いな」




今は何も出来ない。
優が自分の首を締めるのを止めたら、俺は優を助ける。


それはいつか、いつか。



…午後の授業は部活登録だった。
小林も無事に帰ってきた。
けれどあの涙が嘘のようで。
笑顔で教室に戻って来たのだ。
どうしてだろう?
何か良いことでもあったのかな?
小林は、優が追いかけて行ったことを知らないのでは?