俺も沙紀を諦めようとしたよ。
けど諦めなかったから今があるんだ。
未来に幸せを望むのなら、諦めるな。
過去は変えることなど出来ないのだから。
「鈴木くん、本気で言っているの?」
沙紀は優の顔を覗き、こう尋ねる。
優は沙紀の質問に苦笑いを浮かべて、こう言ったんだ。
「うん…メールくらいよくない?って思って」
この言葉を聞いた俺は、優から視線をずらして、窓の方を見た。
真っ青な空が憎く感じる。
怒りを誤魔化しているだけ。
当たる場所がないから、空に当たっているだけ。
どうしてだよ、優。
何で気付いてくれないんだよ。
お前が気付いてくれるまで俺は何も言わない。
「そうだな…」
だからこう言葉を言った。
俺の言葉に何かを感じ取った優は、あの言葉から更に言葉を付け加えた。
「小林のことは諦めたわけじゃない…でも今は…」
言葉の真相はどこに?
俺はそれを必死に探していた。
突然、風が強くなり、教室の中に入ってきた。
俺の髪の毛の間に風が吹き抜けていく。