引きつる小林の顔。
こんなショックを受けている小林を初めて見たかもしれない。
こんな表情、するんだ。それは何故?


あぁ、そうだね。
悲しいんだね。
それは、きっと。




…なにか言わなくちゃいけない。
けど何て言えばいいの?
ここで誤魔化して嘘をついて、小林を傷つけて、優に罪悪感が残って、『俺は関係ないですよ』なんて飄々とした態度なんか見せられるわけないだろ?



だから素直に言おう。



「優がもらったんだってさ…」



ちらっと小林を見ると、小林は唇を軽く噛み締めて、小さな体で必死に悲しさを耐えていた。
限界なのか、瞳には涙が浮かんでいる。




「ふーん…鈴木くんは相沢さんにメールを送るの?」



小林、お前は強いよ。
けどお前も優と同じだ。


素直になれよ。
楽になれよ。



そしたら少しは体が軽くなるんじゃないのか?



小林は涙が限界だったのか、教室から出て行ってしまった。
俺たちの間には冷たい空気が残るだけ。