沙紀が目を輝かせて優に相沢瞳の話をしていく。優は沙紀の話に相槌を打ちながら、聞いていた。その光景がまるで母親に何かを教えられている子供のように見えた。
少しだけ笑えてしまったことは黙っておこう。
「そうなんだ…どうしよっかな…」
優が便箋を取り、それをじっと見つめる。
優?お前はなにを考えている?
「メールしねぇの?」
この質問をした時は怖かったのを覚えている。
もし『するに決まっている』と言われたら、俺は優を殴っていただろう。
だって、優は小林が好きなんだろ?
「だってほら…俺には…」
そう言って、便箋を静かに机の上に置く。
ひらりと落ちたピンク色の便箋が、散っていく桜の花びらを連想させた。
優の答えがあの言葉で嬉しかったよ。
優はちゃんと小林が好きなんだな、と改めて思った。
「確かになー。沙紀はどう思う?」
沙紀の意見を聞くとしよう。
きっと俺と同じことを思っているよね?
「私はね…」