そんな表情を見た俺は、何も出来なかった。
「行くな」なんて言えるはずもなかった。
確信がないのだから。
だから俺は見送ることしか出来なかったんだ。



別れたあと思ったのだ。
もしかして優の友達が何か関係しているのかな?
優が苦しんでいる理由はそこにあるのだろうか?


教室に帰ってきたら聞いてみよう。
けど優はすぐに帰って来なかった。
それまで俺は沙紀と作戦会議をしていた。


話の内容は、あの嘘の計画を実行しようというもの。



「今度四人で遊ぼうぜ!優に言ったらさ、すげぇ喜んでいたからさ!」



「それいいねー!それで急接近して…」



にやりと笑う沙紀。
そんな時、優が教室に帰ってきた。
不思議そうな表情をして。



「優!遅かったな~」



「ん~、何か変なものもらった」




こう言って座りながら、机の上にあるピンク色の便箋を置いた優。



「何?」



沙紀はその便箋を取り、中身を見てみる。
俺も顔を覗かせて、それを見た。




《ここにメールください。待ってます。1─3 相沢瞳》




この達筆な文字を見た瞬間、相沢瞳の顔が頭の中に浮かぶ。


笑った彼女の顔が。
だから余計に驚いたのかもしれない。




「相沢瞳ー!?」






どうしてこんなにも恋は難しいのだろう。


優…。
お前は素直になった方がいいよ。
小林が好きなら小林を見つめればいい。



俺はただ応援をすることしか出来ない。