いつもと変わらない朝。もう早起きは慣れたよ。いつも通りの時間に起きて準備をして、沙紀が迎えに来る時間までつまらない朝番組を観る。
これが毎朝の日課。


そして沙紀を後ろに乗せて、あの道を走っていく。

いつもと変わらないと思っていた朝が、少しだけ違っていたなんて気づくはずもなかった。



指定の場所に自転車を置く。



「鈴木くんと百合、昨日どうなったのかな?あの二人本当にお似合いだよね!」



朝から上機嫌な沙紀。
隣で優と小林のことを楽しそう話している。
俺はそんな沙紀の会話に相槌を打つのだが頭の中では違うことを考えていた。



「…なぁ、優と小林、上手くいくかな?」



沙紀を見下ろしてこう質問してみる。
すると沙紀は真剣な表情を向けて、答えを返してきた。



「どう…かな。百合、最近まで彼氏いたみたいだよ。もう別れたらしいけど…でも…」



「でも?」



沙紀は言葉を言いかけて、視線を足元に落とした。
そんな沙紀が心配になる。

言葉の続きは?




「百合ね?鈴木くんのこと気になるみたいなんだって!!」