だから放っておけなかったのかもしれない。
お前に手を指し伸ばしたのかもしれない。
お前は俺をお節介だと思ったかもしれないけど、俺はお前の力になりたかったんだよ。
友達として、親友として。
「沙紀!あいつだよ、俺がさっき言ってたヤツ。かっこいいだろ?」
沙紀の肩を叩き、彼を指差す。
沙紀も俺が指差す彼の方へと顔を向けた。
「え…なにあの人…。かっこよすぎじゃない?」
やっぱりね。
俺の目に狂いはなかったよ。
沙紀もアイツの良さを認めてくれた。
けど何で顔を赤くしてるんだよ。
もしかして…?
「沙紀、お前…まさか…」
まさか、惚れた?
やめてよ、惚れたなんて言うなよ?許さないよ?
焦りを感じた。
嫌な方向ばかり考えてしまう。
嫌だ、嫌だよ。
「なーんてね。惚れたりしないよ。だってあたしは歩しか見てないもん!」
こう言って、舌を出して、笑いながら黒板の前へと行った沙紀。
俺はほっとする。
そうだよね、沙紀は俺だけだよね。
俺も沙紀だけだから。