これもまた掲示板同様、教室を探すのは困難ではなかった。
階段を上がったらすぐに見つけることが出来た。

少しだけ方向音痴な俺にとって有難いかも。


《1─2》と記されているプレートが風で揺れている。
俺はそれを見て微笑んだ。
今日からこの教室が俺たちが暮らす新しい場所。
何が起こるか分からない。
だからこんなにも緊張と好奇心が芽生えてくるのかな?



俺は沙紀を見下ろし、笑顔を見せて、教室の中に入って行った。


教室をぐるりと見渡す。当然のように、教室には知らない人ばかりいた。
やはりまだみんな緊張しているよう。
教室が不気味なくらい静かだった。


ふと、ある人に視線が止まる。


その人は、教室の真ん中に座っていて、女子たちの視線を集めていた。

そこだけ空気が違う。



「あ…、あいつだ…」




お前と逢うのは今日で二回目。
そいつはどこかつまらなさそうな表情をして、視線を下へと向けていた。

まるで何かに怯えているような瞳。
まるで橋の下に捨てられている猫のよう。



お前の第一印象は、捨て猫のような男だった。