「いや!違うよ?ただ、そいつがあまりにもかっこよくて!俺もあんな風になりたいなって思っただけで!!」
身振り手振りで必死に説明をする。
けどなかなか沙紀は信用してくれない。
終いにはこんな言葉を漏らした。
「歩…見損なったよ。あたしじゃ不満なわけ?」
どうしてそうなるんだよ。
俺はお前しか見てないって!!
どう説明すればいいのかな?
もう一度、あいつに会って、沙紀にもそいつのかっこよさを分かってもらえば誤解は解けるかな?
沙紀も一度見れば分かってくれるさ。
惚れたりしないで欲しいけど。
もし惚れたら、俺はそいつを責められない。
だって本当に『王子様』だったのだから。
「もうこの話は終わり!沙紀も見れば分かるって!早く教室行こ!」
この話は終わりだ。
沙紀が落ち着いたのを確認し、沙紀の手を握り、学校の中へと入って行った。
まだ若干新しい学校。
俺と沙紀は適当に一年生のところに靴を置いて、一年二組を探し始める。