運命って本当に近くに存在しているんだと思うんだ。
相手は気づいていないけど、自分は分かる。
肌で感じられる。
電気みたいなモノが体中を走るのだ。
沙紀との出逢いもそう。
だからきっとお前との出逢いも運命だったんだよ。
「歩…見えた?」
俺の制服を引っ張りながら沙紀は浮かない表情を見せる。
忘れていた。
ここがどこか。
隣にいた人がかっこよすぎて見とれていた。
俺はそんな趣味ないよ?男を好きにならないよ。
けど、魅力を感じた。
「あ、ごめん、ごめん。今から見るから!」
ふと隣を見ると、もうそこには通称、王子様はいなかった。
辺りを見渡すと、遠くの方にいた。
後ろ姿もかっこいい。
何人もの女が彼を振り返り、見ていた。
本人は気づいていないだろうけど。
俺は再び掲示板へと視線を移す。
張り出された紙の中から自分の名前と沙紀の名前を探していく。
クラスは全部で6クラスある。
この中から俺たちの名前を探すのは困難だと思っていたけど、案外早く見つかった。